OZイングリッシュ
シンガポールからシドニーへ
前回はシングリシュについての思い出話をご披露しましたが、今回はそれにもましてインパクトの強かったOZ(オーストラリア)イングリッシュについて書かせていただきます。
シンガポールでの駐在にも慣れ、あと2~3年は東京に戻ることはないだろうと快適なシンガポール生活を過ごしていたある日、本社から電話がありました。
ちょうど中華新年のお祝いあるであるローヘイのランチを社員の皆さんと取っていたところでした。
ローヘイ(魚生)とは大きなお皿に白身魚、ワンタンの皮やピーナッツの砕いたものなどを、独特の香辛料と混ぜ合わせて丸テーブルを囲む人々と箸でかき回せたかと思うと、それを高く持ち上げ落下させ食すというまことに不思議な食事でした。
さて、そんなわいわいと騒いでいる中、電話が鳴り取ってみると本社の上司が「来月からシドニーだ」との一言、有無を言わせる暇もなく一方的な辞令が言い渡されました。
実はその数日前に英語の雑誌である「CNN ENGLISH EXPRESS」のなかにあった、水泳で有名なイアンソープさんのインタビューを添付のCDで聞いていた時、その発音が今まで聞いていた英語とは全く違い、ほとんど聞き取れることが出来ませんでした。
「こんな英語の所で働く駐在員は苦労が多いだろうな」などと人ごとのように思っていた矢先の横々異動(駐在先から日本に戻らず次の駐在地への異動)の辞令で、まさに寝耳に水でした。
シドニーへ移動する前から嫌な予感がしていました。
洗礼
シンガポールを無事に引き払いオーストラリアの最大都市であるシドニーに着任しましたが、天候の素晴らしさや風光明媚な土地に感動し、水泳選手の英語のことも頭から離れ順調にオーストラリア駐在生活が始まりました。
最初は現地の社員も慣れない私に気を使ってか、普段聞きなれているのと大差ない英語で接してくれたので、「何だ、OZイングリッシュ何するものぞ!」という楽な気持ちになりホッとしていました。
ところが、ついにOZイングリッシュの洗礼が始まってしまったのです。
ある程度社内にも慣れてお得意様への挨拶で、シドニーだけでなくメルボルンやブリスベンなどへの出張が始まると、社員も慣れてきたのか私を試し始めたのか、saleが「サイル」、good day が「グッダイ」といたオーストラリア独特のaをai(アイ)と発音する会話が連発されるようになりました。
さすがに化粧品会社なのか若いお兄さんたちが使う、G’ day mate(グッダイマイト)やTa(ありがとう)はないものの、販売会議では「サイル、サイル、サイル」と販売部長がからかい気味に連呼したり、テレビのドラマをみてもよく理解できず、しばらくは会話も上の空状態が続きました。
トラウマ
これはその後の私の英語学習へのトラウマとなりました。最初驚愕した「OK了!」のシングリシュも慣れてしまえば自分でもOK了!や独特のアクセントもある程度使いこなしていましたが、決して, G’dayやサイルといったaをaiと発音することはその時も今でもありません。
その時まではイギリス英語の聞き取りに苦労していましたが、OZイングリッシュはその比ではなく、今でも苦手感ダントツ1位です。
今でもTOEICのリスニングで間違える会話やメッセージ問題のほとんどはOZイングリッシュで、深く私の中でトラウマとなり距離感を置きたいという気持ちで、苦手感を克服しようとも思わなくなりました。
困ったことです。

